透析液清浄化

透析液の清浄化について

人工透析では、血液透析器(ダイアライザー)内に血液と透析液が流れることにより、血液中に蓄積した不要物質を除去し、透析液中から足りない物質を補給します。
そのため、透析液中に細胞が死滅した際に放出される毒素(エンドトキシン)が混入していた場合には、一緒に体内に取り込まれ蓄積されていきます。そうすると、体内で慢性炎症を引き起こし、動脈硬化、しびれ、発熱、栄養不良等の長期合併症につながる可能性があります。

透析液の「きれいさ」は、安全で質の高い透析にとても重要なことです。従って、透析液中のエンドトキシン農度はできる限り低値に抑えたり、エンドトキシンのもとになる細菌の繁殖も防ぐ必要があります。これを「透析液清浄化」と言います。

透析液の清浄化への取り組み

平成22年4月、厚生労働省より「透析液の水質管理」について基準が設けられました。当施設は、透析液の状態を点検するために、定期的に透析液中の生菌数検査とエンドトキシン値測定を行い、日本臨床工学技士会が定める透析液清浄化ガイドラインや日本透析医学会が定める水質基準よりも、さらに厳しい基準で水質管理を行っています。
当施設は平成24年1月に、最上流の水処理装置・溶解装置から供給装置・末端の配管に至るまで汚染源が全くないシステム設計のもとで造設工事を施工し、平成31年11月に新棟へ移行した後も最新の設備を設置することで、きれいな透析液を作成して供給するための設備を整えることができました。また、透析液製造工程中に多段的にエンドトキシン除去フィルターを設置させ、各エリアに適した洗浄消毒システムを構築できたことによりきれいな水質を保証しています。現在、当施設では、透析液のエンドトキシン濃度を測定感度以下に維持できており、細菌も検出されていません。私達は、患者さんの安心な透析治療のために、万全な管理のもと「高品質の超純化(ウルトラピュア)な透析液」を提供します。

日本臨床工学技士会
透析液清浄化ガイドライン
Ver2.00
日本透析医学会
水質管理基準
2008年
当施設
2012年3月
測定結果
生菌数
(CFU/mL)
ET活性値
(EU/mL)
生菌数
(CFU/mL)
ET活性値
(EU/mL)
生菌数
(CFU/mL)
ET活性値
(EU/mL)
透析用水 10未満
目標1
0.010未満
目標0.001
100未満 0.050未満 0 0.001未満
透析液 10未満
目標1
0.010未満
目標0.001
100未満 0.050未満 0 0.001未満
末端透析液 0.1未満 0.001未満
透析液清浄化による患者さんへの効果

清浄化されたウルトラピュアな透析液を使用した透析では、貧血改善や食欲増加など患者さんの元気の出る効果があります。さらに、長期の透析に伴う透析アミロイドーシスの原因となるβ2‐ミクログロブリンの沈着予防、また、痒みやイライラ感の合併症を防いだり、やわらげる効果も期待できます。私達は、当施設で透析をお受けになる患者さんが、快適な透析生活をお送りいただけるよう第一に考え、今後もより一層、透析液清浄化に積極的に取り組んでまいります。

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